『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』


世界が変わるほどの恋、すべてが反転する秘密。

大胆な仕掛けに満ちた、選考委員激賞のデビュー作!

とれた差し歯が思い起こさせるのは、一生に一度の恋。
もう共には生きられない、あの人のこと―。

選考委員の三浦しをん、辻村深月両氏が共に大絶賛!

第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞受賞作をはじめ、どんな場所でも必死に泳いでいこうとする5匹の魚たちを、とびきり鮮やかな仕掛けで描いたデビュー作。


とある小さな町に関わる人たちの人生が、オムニバス形式で展開していく中、それぞれの登場人物が、互いの人生に関わっていたり、登場していくスタイル、好きです。

田舎町の小ささを感じられます。

ただ登場するだけじゃなくて、さっきの物語では「あだ名」で登場していた人物が、違う物語では本名で登場したり、エピソードや特徴から「あの人だ!」ということが分かったり。

そういう『読者に気づかせる・発見させる工夫』が、町田さんって本当にお上手だなあと、ほくほく。


『私の目の前に、コーヒーカップが置かれる。手に取ってそっと口を付ける。いつもよりほんの少しだけ薄い。』

この2行だけで、登場人物の心の動きを描ききってしまう、町田そのこさんが、本当に好き。


切なさと、美しさがまぜ合わさって、最後には救いの光を感じることのできる作品たち・・・

これからも町田さんを追いかけていきたい。


紋佳🐻

読書