『トライアンフ』


政治家の娘の誘拐×二十年前の児童誘拐。

誰が、誰のために、なぜ仕組んだのか。

ふたつの事件に関わりのある五人の告白から、思いもよらぬ真実が浮かび上がってくる!

期待の新鋭が放つ長篇ミステリー。


20年前に起きた誘拐事件、
伝説のロックバンド、
毎朝出題されるニュース番組内のクイズ・・・

登場人物へのインタビュー(独白)によって物語が進んでいき、点と点が、線になり、最後には絵になる、

読み手の推理力、想像力を掻き立てる一冊でした。


各章のタイトルが英単語なのですが、各冒頭に、その意味(複数)が記載されていて。

それら複数ある意味のうち、いくつかが、その章の内容に反映されていて、素晴らしかったです。


何も知らぬまま当事者に関わりのあった人物、
たくさんの取材を経て、真相を予測するフリーライター、
当事者だったけど、真相は知らされていない人物、
真相も知っていて、全てをコントロールしている人物・・・

と、どんどん核心に迫っていく順番で、登場人物たちが語っていくのがまた良かった。


その後を想像させるラストの資料が、またお洒落でした。

全てを語らずに、想像で埋めさせる。

作家の実力を感じずにはいられない構成、テクニックに痺れました。


紋佳🐻

読書