『リアルプリンセス』


古今東西に伝わるさまざまなプリンセス・ストーリーを、現代に置き換えたとしたら、どんな物語になるのでしょうか。

人気の女性作家六人が、それぞれが選んだ題材をもとに物語を書き下ろすアンソロジー集。

女性ならではの優しさあり、はたまたぴりりとする毒もあり、個性豊かで小気味良い物語が集まりました。

寺地はるな×鉢かづき姫
飛鳥井千砂×踊る12人のお姫様
島本理生×ラプンツェル
加藤千恵×エンドウ豆の上に寝たお姫様
藤岡陽子×乙姫
大山淳子×眠り姫


「プリンセス」という言葉と、作家陣の名前、表紙の可愛らしさに惹かれて手に取りました。


童話や昔話の「お姫さま」をモチーフにした短編を集めたアンソロジー。

私は特に、藤岡陽子さんの『あの人は海を捨てた』の余韻が好きでした。

モチーフは浦島太郎の乙姫。

京都に実際にある、浦島太郎ゆかりの土地を舞台に、浦島太郎、乙姫、そして亀の立場で描かれる人間関係。

ああ・・・亀さん、亀さんには幸せになってほしいです。

そして乙姫って、そうか、姫なんですね、と改めて。


大山淳子さんの『夢のあと』は、怒涛の展開に、子を持つ親として涙があふれました。

ハッピーエンドにも、バッドエンドにも受け取ることのできる物語。

嫌いじゃないです。


寺地はるなさんの作品に散りばめられた、気付ける人だけ気付いてくれればいい、という「さだまさし」さんの歌詞には、さださんファンの母を持つ娘として、ふふふとなりました。


紋佳🐻

読書