『第三の嘘』


ベルリンの壁の崩壊後、双子の一人が何十年ぶりかに、子どもの頃の思い出の小さな町に戻ってきた。

彼は少年時代を思い返しながら、町をさまよい、ずっと以前に別れたままの兄弟をさがし求める。

双子の兄弟がついに再会を果たしたとき、明かされる真実と嘘とは。

『悪童日記』にはじまる奇跡の三部作の完結篇。


何が真実で、そうでなかったのか・・・

答えを与えられないままに幕を閉じた、衝撃の第二作目のラストから、一刻も早く読み始めたかった完結篇。


時系列が前後するので、前半は読み進めながら全体を把握するのに時間がかかりましたが、慣れてくるとこれがまた効果的で!

ああ、そういうことだったのか・・・と、真実を知ることができて(しかも三部作のうちの第一作目に対する真実)、視界がクリアになっていくさまが癖になりそうな快感でした。
(第二作目からずっとモヤモヤさせられていた)


それにしても。

第一作目で双子の信頼関係を見せつけられた読者にとって、この結末はあまりに残酷過ぎました。

えっと・・・あれがこうだから、あのときはこうで・・・

こんなにも、もう一度初めから読み直したくなる作品は、なかなかありません。


『いずれにせよ、アゴダ・クリストフの三部作の面白さは、正篇・続篇・続続篇を構成して、深い部分で主題が一貫していながら、同時に作品と作品のあいだのヴァリエーションが大きく、物語のレベルでも、意図的に矛盾が仕組まれていることにあるといっていいだろう。
この作家の世界に足を踏み入れると、何が「真実」で何が「嘘」なのか、それともすべて「嘘」なのか、わからなくなってしまう。』

正しく、それです。

構成・時代背景・結末―

あらゆる意味で壮絶な作品でした。


紹介してくださった、クラリネット吹きのお姉さまに感謝して。


紋佳🐻

読書