『不連続の世界』


妻と別居中の多聞を、三人の友人が「夜行列車で怪談をやりながら、さぬきうどんを食べに行く旅」に誘う。

車中、多聞の携帯に何度も無言電話が…。


友人は言った。
「俺さ、おまえの奥さん、もうこの世にいないと思う。
おまえが殺したから」
(「夜明けのガスパール」)


―他四篇、『月の裏側』の塚崎多聞、再登場。
恩田陸のトラベル・ミステリー。


おひさしぶりの恩田さん。

高校時代に読み漁っていた作家さんのひとりなので、ひさしぶりに読むと「ああうん、恩田さんっぽいそうそうこれこれ」と感じられて懐かしいきもちでいっぱいに。

「希望」と「絶望」の共存が描かれたラストも、これぞ恩田さん!という感じがしてよかったです。

物語のカラーが不明瞭で、受け取り手によって喜劇にも悲劇にもなる、それが恩田さん。


紋佳🐻

読書