『黄昏の岸 暁の天:十二国記』


驍宗(ぎようそう)が玉座に就いて半年、戴国(たいこく)は疾風の勢いで再興に向かった。しかし、文州(ぶんしゆう)の反乱鎮圧に赴(おもむ)いたまま王は戻らず。
ようやく届いた悲報に衝撃を受けた泰麒(たいき)もまた忽然(こつぜん)と姿を消した。

王と麒麟を失い荒廃する国を案じる女将軍は、援護を求めて慶国を訪れるのだが、王が国境を越えれば天の摂理に触れる世界──景王陽子が希望に導くことはできるのか。


『なぜ妖魔がいるのか、なぜ王は寿命がないのか、なぜ生命は樹木から誕生し、何をもって麒麟は王を選ぶのか。それら、当然としてきたことのすべてを、不可解に思うべきだったのかもしれない。そういう種類の――あえて言うならば、――薄気味の悪い違和感。』

陽子の中に積もっていく「違和感」が、読み進めるにつれこちらにも積もっていく感覚が生々しい巻でした。


あ、あとあれは興味深かったなあ。

他人と自分を比べるのは、そもそも「結果論と客観的評価」VS「自分の内実と自己評価」なのだから、比べるのはナンセンスだっていうお話。

うん、とてもすき。


紋佳🐻

読書