『アボカドの種』


《言葉から言葉つむがずテーブルにアボカドの種芽吹くのを待つ》

一首一首、自分の目で世界を見るところから、歌を生む。
言葉から言葉をつむぐだけなら、たとえばAIにだってできるだろう。
心から言葉をつむぐとき、歌は命を持つのだと感じる。

迢空賞受賞後初、待望の第7歌集。


装丁の美しさに惹かれて手に取った、俵さんの短歌集。

読んでいるだけで、こころのなかにリズムが生まれて、情景がぶわあっと広がって。

豊かな読書時間でした。


『背のびして柿の実ドレミ青空に音符を吊るすような手作業』

『クリスマスマーケットに買うマグカップ確かに今日があったしるしに』

『尊敬はしないが感謝はしていると子に言われたり十六の春』

『ダイソーの迷路に息子見つければイメージよりも大きかりけり』

『英検の結果出る日を尋ねれば「二年後くらい」と答える息子』

『二週間前に赤本注文す息子は大物なのかもしれず』

『プレゼンの資料忘れて引き返すYOUは何しに面接へ行く』

『学生となる子を連れて行きは二人、帰りは一人の春の飛行機』

だんだんと大きくなる息子くんの成長が、短歌からすくすくと感じられて、微笑ましい。

「子育てと短歌は相性が良い」という言葉の意味を、真正面から受け取った心地でした。


『陶芸家・富本憲吉の「模様より模様を造るべからず」という言葉を思い出した。すでにある模様を利用して次の模様を造るのではなく、一回一回、富本は自分の目で自然を観察して模様を生んだ。
歌の言葉も、そうありたいと思う。一首一首、自分の目で世界を見るところから、歌を生む。
言葉から言葉をつむぐだけなら、たとえばAIにだってできるだろう。心から言葉をつむぐとき、歌は命を持つのだと感じる。』

例えばナレーションも、最近では音声再生ソフトで読ませることもできるけれど。

『こころから感じたものをのせて声で伝える』から、生きたナレーションになるのだと私も思う。


紋佳🐻

読書